300万円不正受給で逮捕、キャリアアップ助成金について
2020/09/24   労務法務, 労働法全般, その他

はじめに

キャリアアップ助成金約300万円を不正に受給したとして、警視庁組織犯罪対策4課が一般社団法人「ワークみらい」の元代表理事吉本健治容疑者(54)を逮捕していたことがわかりました。容疑を否認しているとのことです。今回はキャリアアップ助成金について見ていきます。

事件の概要

 報道などによりますと、ワークみらいの元代表理事吉本容疑者は平成29年2月、20代~50代の男女5人を同法人が運営する杉並区の障害者福祉施設の非正規労働者であるように装い、正社員にしたとする虚偽の申請書を労働局に提出して、一人あたり約60万円、計約300万円のキャリアアップ助成金を不正受給したとされます。5人は同容疑者が代表を務めていた自動車販売会社の従業員や知人らで、そのうちの一部は「名前を勝手に使われた」などと説明しているとのことです。警視庁は同様の手口を使った余罪があると見て調べております。

キャリアアップ助成金とは

 キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための制度です。平成25年に創設され、非正規労働者を正社員化したり、処遇改善に取り組んだ事業者に一定の助成金を交付するというものです。この制度には7つのコースが用意されており、正社員化コース、賃金規定改定コース、健康診断コース、賃金規定共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コースとなっております。以下正社員化コースを具体的に見ていきます。

正社員化コースの概要

 正社員化コースでは有期雇用労働者等を正社員に転換した場合には、中小企業で57万円、それ以外の企業で42万円の助成金が交付されます。生産性向上が認められる場合にはそれぞれ中小企業で72万円、それ以外の企業で54万円となります。有期を無期に転換した場合、または無期を正規に転換した場合は中小企業で28万5000円、それ以外の企業で21万3750円となり、生産性向上が認められる場合はそれぞれ36万円、27万円となっております。ここに言う中小企業とは次の要件を満たす業者を言います。小売業で資本金5000万円以下または常時雇用する労働者の数が50人以下、サービス業で5000万円以下または100人以下、卸売業で1億円以下または100人以下、その他で3億円以下または300人以下となっております。

正社員化コースの流れ

 正社員化コースの手続の流れは次のようになります。まず①キャリアアップ計画を作成し労働局またはハローワークに提出します。②正社員等への転換規定を置いていない場合は就業規則等を改定します。③就業規則等に基づいて正社員等に転換します。④転換後6ヶ月の賃金を支払います。この際の賃金は転換前と比較して5%以上増額していることが必要です。そして⑤労働局またはハローワークに支給申請することとなります。なお全コース共通の前提条件として雇用保険適用事業者であることやキャリアアップ管理者を置いてあることなどが求められております。

コメント

 本件でワークみらいは架空の非正規労働者を正社員化したとして、5人分で計約300万円の助成金を不正受給した疑いがもたれており、詐欺容疑で代表者が逮捕されております。厚労省のパンフレットによりますと、労働局や労基署は不正受給を防止するために事業所に立入検査を行う場合があるとしています。その際総勘定元帳や帳簿等の書面を確認するとしています。また提出した書面は差し替えや訂正できないとされており、これらの調査を拒否した場合は不支給が決定するとなっております。従業員のキャリアアップを検討している場合はこれらの制度の要件等を正確に把握しつつ不正受給とならないよう注意して積極的に利用していくことが重要と言えるでしょう。

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