瀧定大阪がスタイレムを吸収、吸収合併の手続について
2020/10/12   商事法務, 戦略法務, 会社法, 商社

はじめに

繊維商社の瀧定大阪は子会社であるスタイレムを2021年2月1日付で吸収合併すると発表しました。商号もスタイレム瀧定大阪に変更するとのことです。今回は吸収合併の手続きの流れを見直していきます。

事案の概要

 報道などによりますと、瀧定大阪は2013年に「スタイレム」ブランドを立ち上げ、ファッション素材や製品を提供するサプライヤー事業を展開。2015年に会社分割の形で瀧定大阪から事業を承継し子会社化しましたが今回再び吸収合併の形で組織再編するとのことです。経営資源の集約、事業運営と業務効率化が目的とされます。近年業界に浸透してきた「スタイレム」の名称を商号に組み込むことが最善と判断し、商号も「スタイレム瀧定大阪」に変更するとのことです。

吸収合併とは

 吸収合併とは、「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるもの」を言うとされております(会社法2条27号)。存続会社が消滅会社の事業や財産だけでなく負債なども当然に包括的に承継することとなります。合併は株式会社だけでなく、合名会社、合資会社、合同会社なども自由に行うことができますが、精算中の会社や特例有限会社を存続会社とする合併、また破産手続き中の会社の合併は禁止されております。なお外国会社との合併も可能と言われております。

吸収合併の手続きの流れ

 吸収合併の手続きは次のようになります。まず①各当事会社間で合併契約を締結します(会社法748条)。消滅会社への対価や効力発生日などを定めます。そして②その合併契約を各当事会社の取締役会で承認し(362条4項)、株主総会での承認も得ることとなります(783条1項、795条1項)。③合併契約で定めた効力発生日の1ヶ月以上前までに債権者に催告・公告し(789条、799条)、また効力発生日の20日前までに株主に対し株式買取請求ができる旨の通知・公告を行います(785条、797条)。④効力発生日の前および後での書類の開示を行います(782条、752条)。この書類は合併契約書や貸借対照表、また手続きの遂行状況などを記載したものです。そして効力発生日から2週間以内に登記を行います(921条)。

吸収合併の登記手続き

 吸収合併が行われた場合、上記の通り登記が必要となります。登記所への登記申請は原則として当事会社の代表が行うこととなりますが、吸収合併消滅会社はすでに消滅しているため存続会社が消滅会社の分もまとめて申請することとなります。また両会社の本店所在地が別々の登記所の管轄に属する場合には存続会社の管轄登記所を経由して消滅会社の登記所に登記することとなります。必要書類としては合併契約書や株主総会議事録、債権者に公告・催告したことを証明する書面、消滅会社の登記事項証明書、そして資本金が計上されたことを証明する書面などとなります。

コメント

 本件で瀧定大阪は1度は事業を分割しスタイレムとグループ経営体制をとったものの、その後小売事業から撤退し、サプライヤー事業に集中することとなったためグループ体制を維持する意味が薄れ、再びスタイレムを吸収することとなったとされます。このように会社の事業部門を分割して独立させ、子会社化することでグループ体制を取ることも、またその逆に吸収して一体化することも可能です。経営状況や市場の変動などに合わせてフレキシブルに会社事業を編成し直していくことで最適な経営体制を構築することができます。柔軟な組織再編に備え、上記の手続きの流れを予め把握しておくことが重要と言えるでしょう。

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